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研究内容

研究目的(背景)

変形性膝関節症をはじめとする運動器疾患は、日常生活動作(ADL)を下げるばかりか、生活の質(QOL)の低下も招きます。平成28年度版高齢社会白書によると、我が国の65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,392万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も26.7%となり、未曾有の超高齢化社会が到来しました。そして健康寿命を縮める原因(要支援となる原因)の第1位が関節疾患17.2%(平成28年国民生活基礎調査)であると報告されています。
変形性膝関節症は進行性かつ難治性の関節の変性疾患であり、極めて羅患率の高い疾病ですが、現在までに根治的な治療法は開発されていません。世界的な人口の高齢化と共に変形性膝関節症の患者さんはさらに増加することが懸念され、根治的治療法の開発が急務となっています。
一方で、現在国内外で実施されている軟骨再生医療は、変形性膝関節症のような変性を伴う軟骨欠損に対する治療法ではありません。本研究では、従来の治療法では困難であった、本来の関節機能を担う硝子軟骨での修復再生を目指しています。

臨床研究に至るまで

私たちは、関節軟骨の表層部分をきちんと修復再生できれば、それより下の中間層や深部は自己修復可能であるいは内因性再生能で治るというコンセプトでこれまで一貫して研究を続けてきました。東京女子医科大学先端生命医科学研究所 岡野光夫教授(現特任教授)が開発された「細胞シート」技術は、温度応答性培養皿という特殊なコーティングを施した培養皿で細胞を培養することで、酵素的処理をする必要なく、非侵襲的にシート状に細胞と周囲のマトリックスごと回収可能な技術です。様々な動物実験で軟骨細胞シートの有効性が確認できていますが、特に軟骨の全層欠損(骨にまで達するもの)と部分損傷(骨まで達しないもの)の両方に治療効果を認めた点は、今までの再生医療にはない特筆すべき点と思われます。
しかしながら、臨床応用するところまで昇華させるには、安全性の評価が必要になります。患者さんに早く新しい治療を提供したいと思いながらも、厚生労働省が定める指針に準拠するために、培養細胞が染色体異常を生じないこと、移植しても腫瘍化しないこと、移植した細胞が転移を起こさないこと等々、安全であることを確認するために3年以上を要し、2011年にようやく患者さんご本人の細胞から作製した細胞シートを移植する臨床研究を開始することができました。この自己細胞による臨床研究では、8名の患者さんに移植を行い、その結果全例で安全性および臨床症状の改善と硝子軟骨での修復再生を確認でき良好な治療効果を得ました。

今後の展望

自己細胞による臨床研究は術後3年の評価でも全例経過良好であり、現在先進医療申請に向けて準備中です。同時に細胞シートの将来的な臨床現場への普及並びに企業導出を考え、他人の細胞で作製した同種細胞シートの臨床研究を開始しました。平成29年9月現在、2名の患者さんに移植を行い、いずれも経過は良好です。
私たちは本臨床研究から変形性膝関節症の軟骨欠損の治療の可能性を見極め、その実現・普及を目指しています。さらに軟骨欠損の治療から、より集約的な治療が要求される変形性膝関節症の根治的治療に繋げることで、生涯自分自身の関節で過ごせる機会が増し、患者さんのADLとQOLの向上に貢献できるよう日々研究に励んでいます。

研究体制

【メンバー】

学内中核組織
東海大学医学部 外科学系整形外科学
東海大学医学部 基盤診療学系臨床薬理学
東海大学医学部 基盤診療学系再生医療科学
東海大学医学部 付属病院整形外科
東海大学医学部 付属病院中央診療部セルプロセッシング室
東海大学大学院 医学研究科総合臨床研究センター(GCRC)
共同研究者
国立成育医療研究センター研究所 生殖・細胞医療研究部 阿久津英憲
国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 加藤玲子
明治大学農学部 発生工学研究室 長嶋比呂志
連携研究機関
防衛医科大学校 医用工学
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
連携企業
株式会社セルシード
株式会社DNAチップ研究所

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